筆者:冨澤敏夫(整体師、柔道整復師) N2024/4/13

犬の甲状腺機能低下症の検査

 

 

犬の甲状腺機能低下症の検査

犬の甲状腺機能低下症の診断は主に以下の方法で行われます。

  • 血液検査:甲状腺ホルモンの値(T4もしくはfT4)が低下していることを確認します。また、血液検査では他に、貧血や高脂血症、肝酵素(ALPなど)が高いなどが見られることもあります。
  • 甲状腺刺激ホルモン(TSH)の測定:甲状腺ホルモンの低下とともに、下垂体から出ている甲状腺刺激ホルモンの数値の増加が見られた場合には原発性甲状腺機能低下症と診断されます。
  • 画像検査:甲状腺の画像検査(超音波検査やCT検査)によって甲状腺の萎縮を確認することもあります。

これらの検査結果に基づき、獣医師が犬の甲状腺機能低下症の診断を行います。ただし、甲状腺ホルモンは甲状腺機能低下症以外でも低下することがあります。

その他、犬の甲状腺機能低下症(Hypothyroidism)の診断において、皮膚の検査は重要な要素の一つです。なぜなら、甲状腺ホルモンの不足によって皮膚の症状が現れることがあり、それが獣医師に診断を導くことがあるからです。

皮膚の症状は、乾燥、かさぶた、湿疹、毛の薄毛、毛の質の変化などが含まれます。これらの症状は、甲状腺機能低下症の他の症状とともに考慮され、診断の一部として皮膚の検査が行われることがあります。

皮膚の検査は、皮膚の状態や症状を観察し、特定の皮膚疾患や甲状腺機能低下症による影響を評価するために行われます。また、皮膚の検査は、他の検査と組み合わせて行われることもあります。例えば、血液検査や甲状腺ホルモンの検査と組み合わせて、総合的な診断を行うことがあります。

 

甲状腺機能低下症の血液検査

犬の甲状腺機能低下症を診断するための血液検査では、主に次のような項目の数値を測定して異常を確認します。

  • 1.甲状腺ホルモン(T4、T3):
    • 総サイロキシン(T4):血液中のT4の総濃度を測定します。甲状腺機能低下症の場合、この値が低いことが一般的です。
    • 遊離サイロキシン(fT4):血液中で結合していない、活性の高いT4を測定します。こちらも低くなることが多いです。
    • トリヨードチロニン(T3):血液中のT3の濃度を測定します。甲状腺機能低下症では、T3の値も低くなる場合があります。
  • 2.甲状腺刺激ホルモン(TSH):
    • 甲状腺刺激ホルモンの血中濃度を測定します。通常、甲状腺機能低下症では、甲状腺の機能を高めるためにTSHの値が高くなることが多いです。

これらの項目は甲状腺の機能を評価するための重要な指標です。甲状腺機能低下症が疑われる場合、これらの数値に異常が見られることが多いです。ただし、診断にはこれらの検査結果だけでなく、犬の症状や獣医師の判断も総合的に考慮されます。

甲状腺ホルモン(T4、fT4、T3)と 甲状腺刺激ホルモン(TSH)の違い

甲状腺機能低下症の診断に使用される血液検査には、主に甲状腺ホルモン(総サイロキシン(T4)、遊離サイロキシン(fT4)、トリヨードチロニン(T3))と甲状腺刺激ホルモン(TSH)の測定が含まれます。それぞれの検査の違いとその役割について説明します。

甲状腺ホルモン(T4、fT4、T3)

  • 1.総サイロキシン(T4):
    • 定義:血中の全サイロキシン量を測定します。サイロキシン(T4)は、甲状腺が生成する主要なホルモンです。
    • 特徴:血中のT4の多くはタンパク質と結合していますが、この検査では結合しているものと結合していないものの両方を測定します。
    • 用途:甲状腺機能の全体像を把握するために使用され、甲状腺機能低下症では通常低値を示します。
  • 2.遊離サイロキシン(fT4):
    • 定義:血中でタンパク質と結合していない、自由に利用可能なサイロキシンの量を測定します。
    • 特徴:fT4は、体内で直接作用するホルモンであり、総T4よりも甲状腺機能の正確な評価ができます。
    • 用途:甲状腺機能低下症の診断において、特に信頼性が高く、低値を示すことが多いです。
  • 3.トリヨードチロニン(T3):
    • 定義:血中のトリヨードチロニン量を測定します。T3はT4から変換される活性ホルモンです。
    • 特徴:T3は甲状腺機能低下症では測定されないことが多いですが、亢進症の評価には有用です。
    • 用途:主に甲状腺機能亢進症の診断に使用され、低下症の診断にはT4とfT4が優先されます。

甲状腺刺激ホルモン(TSH)

  • 定義:甲状腺刺激ホルモン(TSH)は、脳下垂体から分泌され、甲状腺を刺激してホルモン(T4、T3)の生成を促進します。
  • 特徴:甲状腺ホルモンの血中濃度が低下すると、下垂体がTSHの分泌を増やし、逆にホルモン濃度が高いとTSH分泌が抑制されます。このフィードバックメカニズムを利用して、甲状腺の機能を間接的に評価します。
  • 用途:甲状腺機能低下症ではTSHが高くなることが多く、甲状腺機能亢進症では低くなることが多いです。TSHの測定は、甲状腺機能の初期スクリーニングや治療効果のモニタリングに使用されます。

検査の違いとその役割

  • T4とfT4:甲状腺が直接分泌するホルモンの量を示します。総T4は全体的な甲状腺ホルモンの量を示し、fT4は体内で利用可能なホルモンの量を示します。fT4は、特に甲状腺機能低下症の診断に信頼性が高いです。
  • T3:主に甲状腺機能亢進症の診断に使用されます。甲状腺機能低下症の診断にはあまり用いられません。
  • TSH:下垂体から分泌されるホルモンで、甲状腺のフィードバックメカニズムを反映します。甲状腺ホルモンの生成量に応じて変動するため、甲状腺機能の評価に重要です。

これらの検査結果を総合的に判断することで、犬の甲状腺機能低下症の診断と適切な治療計画を立てることができます。

通常の血液検査での注意項目

犬の甲状腺機能低下症の場合、通常の健康診断で行う血液検査で異常が見られることが多い項目は次のとおりです。

  • 1.コレステロール:
    • 血中コレステロールの値が上昇することがあります。甲状腺機能低下症の犬で高いコレステロール値が見られることは一般的です。
  • 2.貧血:
    • 軽度の貧血が見られることがあります。具体的には、赤血球数やヘモグロビン値が低下する場合があります。
  • 3.肝酵素(ALT、AST):
    • 肝臓の酵素であるALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)やAST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)が上昇することがあります。

これらの項目は、一般的な血液検査で測定されるため、甲状腺機能低下症の可能性を示す手がかりとなることがあります。ただし、これらの異常は他の疾患でも見られることがあるため、甲状腺機能低下症の診断には甲状腺ホルモン(T4、T3、TSH)の測定が必要です。獣医師がこれらの結果を総合的に判断し、適切な診断を行います。

 

愛犬が病気を持つ飼い主さんの 情報共有や経験の交換の場

病気の愛犬と暮らす方々が、不安や心配などを共有して励まし合って、愛犬や飼い主がストレスなく暮らせるようにしていきたいと思います。

私で良かったら、少しでもお力になれれば幸いです。気軽にご連絡下さいませ。

冨澤敏夫が【愛犬と病気】の情報交換グループを作りました。良かったら参加してください。

参加の場合はこちら【愛犬と病気】の情報交換

https://line.me/ti/g/k9sDHXl61k

LINEをインストールし、登録した後に上記リンクをタップして【愛犬と病気】の情報交換]グループに参加することができます。

病気の愛犬と暮らす飼い主さんの情報交換の場のLINE|原因と症状、治療と予防|さいたま中央フットケア整体院

 

関連記事

 

 

自己紹介(profile)

NEWS

冨澤敏夫(とみざわ としお)、1969年12月12日生まれ
資格(国家資格:柔道整復師、整体師)

好きな言葉:継続は力なり
特技や趣味:空手、太極拳、健康体操、映画鑑賞、仕事(整体業)、WEB関係
愛読書:原因と結果の法則
好きなアニメ:あしたのジョー、エースをねらえ!


はじめまして、私はさいたま市で整体院を開業しています。愛犬はトイプードルのももちゃんと心(しん)ちゃんを迎えて暮らしています。愛犬の病気をきっかけに、このコンテンツを立ち上げました。皆さんのお役に立てればと思い、わんちゃんの健康を中心に、犬の色々な情報を掲載しています。