筆者:冨澤敏夫(整体師、柔道整復師) N2024/4/13

犬のアジソン病とは?

 

 

アジソン病とは

アジソン病、または副腎皮質機能低下症は、犬において副腎皮質から分泌されるホルモンが不足することで発症する病気です。この病気は、副腎が生命を維持するために重要なホルモンを分泌する器官であるため、その機能障害は犬にとって深刻な影響を及ぼします。副腎皮質からは主にグルココルチコイド、ミネラルコルチコイド、アンドロゲンが分泌され、これらのホルモンの不足は全身に様々な症状を引き起こします。

犬のアジソン病の症状は多岐にわたり、食欲不振、虚弱、嘔吐、下痢、元気消失、体重減少、多尿、徐脈、震えなどが見られます。これらの症状は非特異的であり、他の病気との区別が難しいことがあります。そのため、愛犬にこれらの症状が見られた場合は、早急に動物病院での診察を受けることが推奨されます。

アジソン病の原因としては、副腎そのものの機能異常や、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)や副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)の分泌器官である下垂体や視床下部の機能異常が考えられます。特発性アジソン病は、副腎皮質が自己免疫により破壊されることで発症するとされていますが、明確な原因はまだ解明されていません。また、医原性アジソン病は、グルココルチコイド製剤の長期投与や、副腎皮質機能亢進症の治療薬によって引き起こされることがあります。

治療に関しては、副腎クリーゼと呼ばれる重度の副腎不全状態に陥った場合は、入院しての点滴治療が必要になることがあります。維持療法としては、不足しているミネラルコルチコイドとグルココルチコイドをステロイド剤により補充することが一般的です。これらの治療は犬の生涯にわたって継続する必要があります。

予防方法については、特発性アジソン病に対する明確な予防法は存在しませんが、医原性アジソン病に関しては、薬の適正投与に注意することで予防が可能です。犬にグルココルチコイド製剤を投与する際は、獣医師の指示に従い、適切な量と期間での使用が重要です。また、投薬を突然中止することなく、獣医師の指示に従って段階的に減量することが推奨されます。

犬のアジソン病は、早期発見と早期治療が非常に重要です。愛犬の健康に異変を感じたら、迷わず専門の獣医師に相談しましょう。適切な診断と治療により、犬は快適な生活を送ることができます。犬のアジソン病に関する詳細な情報は、専門のウェブサイトや動物病院で入手することができます。

犬のアジソン病の豆知識

  • 由来と歴史:アジソン病の名前は、英国の解剖学者であるトーマス・アジソンにちなんでいます。彼は1855年に副腎皮質機能不全(アジソン病)について初めて記述しました。アジソン病はその後、彼の名前に由来して名付けられました。
  • 人のアジソン病の現在の認識:人のアジソン病は、副腎皮質の機能不全によって引き起こされる稀な疾患であり、特に自己免疫疾患によるものが多いです。アジソン病は現在でも難病に指定されており、患者は副腎皮質ホルモンの補充療法が必要です。
  • 犬のアジソン病の発生率:犬のアジソン病の発生率は一般的に報告されているように、0.06%から0.28%の範囲になります。これは一般的な推定値であり、獣医学文献によって多少異なることがあります。
  • 性別による発生率:犬のアジソン病は雌犬よりも雄犬で多く見られる傾向がありますが、性別による差は一貫して報告されているわけではありません。個々の研究によって異なる傾向が報告されることがあります。
  • 非定型アジソン病の割合:犬のアジソン病の中で非定型アジソン病(部分的副腎不全)の割合は、一般的に全体の約25%前後と推定されています。このタイプのアジソン病は、副腎皮質の機能が部分的に低下している状態で、症状が軽度であることが特徴です。

Q:非定型アジソン病とは、どのような症状で同のように治療しますか?

A:非定型アジソン病(部分的副腎不全)は、副腎皮質の一部の機能が低下している状態であり、症状は通常の定型アジソン病(全副腎不全)よりも軽度です。非定型アジソン病の症状は緩やかであるため、診断が遅れることがあります。一般的な症状や治療については以下の通りです。

非定型アジソン病の症状

  • 多飲・多尿: 水分摂取量が増加し、排尿頻度が増えることがありますが、定型アジソン病ほど顕著ではありません。
  • 食欲不振: 食欲が減退して食事を選り好みする傾向が見られることがあります。
  • 体重減少: 犬が体重を減らすことがありますが、程度は軽度です。
  • 脱毛・皮膚の変化: 皮膚が乾燥して脱毛が進行することがありますが、他の症状と比較して軽度です。
  • 消化器症状: 軽度の下痢や嘔吐が見られることがあります。

非定型アジソン病の治療

非定型アジソン病は、定型アジソン病と同様に副腎皮質ホルモンの不足を補うために治療が行われますが、定型病よりも低用量のホルモン補充療法が一般的です。治療の目的は、症状の軽減や犬の生活の質を向上させることです。

  • 副腎皮質ホルモン補充療法: コルチゾール(プレドニゾロンなど)の低用量投与が行われます。定型アジソン病と同様に、症状の程度や個々の犬の状態に応じて投与量が調整されます。
  • 定期的な経過観察: 獣医師は定期的な検査を行い、犬の状態を評価して治療を調整します。

非定型アジソン病の治療は、症状が比較的軽度であるため、定型アジソン病ほどの重度の状態にはなりにくい傾向があります。しかし、適切な治療と定期的なフォローアップが重要です。症状の変化や悪化が見られた場合は、すぐに獣医師に相談してください。

Q:非定型アジソン病は、糖質コルチコイドが不足するのですか?それとも、鉱質コルチコイドが不足しますか?

A:非定型アジソン病は、主に鉱質コルチコイド(アルドステロン)の不足が特徴です。副腎皮質の一部が損傷しているため、アルドステロンの産生が低下し、ナトリウムとカリウムのバランスが乱れます。この状態は通常、症状が軽度であり、主に水分摂取量の増加や軽度の消化器症状を引き起こします。
糖質コルチコイド(コルチゾール)の不足も一部見られることがありますが、定型アジソン病ほど顕著ではありません。糖質コルチコイドの不足が重度である場合は、定型アジソン病と同様により広範な症状が現れる可能性があります。
治療では、鉱質コルチコイドの補充が中心となります。定型アジソン病の治療とは異なり、糖質コルチコイドの補充は通常、低用量で行われます。獣医師が症状と血液検査結果を評価し、最適な治療プランを立てることが重要です。

Q:非定型アジソン病は、通常は糖質コルチコイドが不足すると言われていますが、鉱質コルチコイドは正常でカリウムやナトリウム数値も基準値範囲でわかりにくこともありますか?

非定型アジソン病(部分的副腎不全)では、副腎皮質の一部が機能不全であるため、通常は主に鉱質コルチコイド(アルドステロン)の不足が特徴です。アルドステロンはナトリウムとカリウムの代謝を調節し、体内の水分バランスを維持する重要なホルモンです。
一方で、糖質コルチコイド(コルチゾール)の不足も見られることがありますが、その程度は通常の定型アジソン病よりも軽度です。糖質コルチコイドの不足による症状が軽度であるため、血液検査での異常がそれほど顕著に現れないことがあります。
鉱質コルチコイドの数値(特にナトリウムとカリウム)が基準値範囲内であっても、非定型アジソン病の可能性は排除されません。これは、副腎皮質の一部のみが機能不全であるため、まだ十分なアルドステロンが産生されているために数値が基準範囲内に保たれる場合があるからです。
診断には症状、臨床所見、血液検査結果などを総合的に考慮する必要があります。非定型アジソン病の場合、症状が軽度であっても治療が必要な場合がありますので、獣医師の診断と指示に従うことが重要です。

 

アジソン病を持つ犬の飼い主さんの 情報共有や経験の交換の場

私のようにアジソン病の愛犬と暮らす方々が、不安や心配などを共有して励まし合って、愛犬や飼い主がストレスなく暮らせるようにしていきたいと思います。

私で良かったら、少しでもお力になれれば幸いです。気軽にご連絡下さいませ。

冨澤敏夫が[アジソン病の情報交換]グループを作りました。良かったら参加してください。

参加の場合はこちらアジソン病の情報交換

https://line.me/ti/g/k9sDHXl61k

LINEをインストールし、登録した後に上記リンクをタップして[アジソン病の情報交換]グループに参加することができます。

アジソン病の愛犬と暮らす飼い主さんの情報交換の場のLINE|原因と症状、治療と予防|さいたま中央フットケア整体院

 

 

関連記事

 

 

自己紹介(profile)

NEWS

冨澤敏夫(とみざわ としお)、1969年12月12日生まれ
資格(国家資格:柔道整復師、整体師)

好きな言葉:継続は力なり
特技や趣味:空手、太極拳、健康体操、映画鑑賞、仕事(整体業)、WEB関係
愛読書:原因と結果の法則
好きなアニメ:あしたのジョー、エースをねらえ!


はじめまして、私はさいたま市で整体院を開業しています。愛犬はトイプードルのももちゃんと心(しん)ちゃんと暮らしています。愛犬の病気をきっかけに、このコンテンツを立ち上げました。皆さんのお役に立てればと思い、わんちゃんの健康を中心に、犬の色々な情報を掲載しています。

  • ももちゃん(女の子 2012年5月生まれトイプードル)
  • 心ちゃん(男の 子2013年11月生まれトイプードル)

心ちゃんが遺伝的な病気を持ち闘病中です。

  • アジソン病2019年11月6歳
  • 進行性網膜萎縮症、白内障2023年7月
  • 甲状腺機能低下症2024年4月

上記は正式な診断を受け治療を開始した時で、発症はもう少し前からだと思います。

特に進行性網膜萎縮症は、初期症状に早く気づき早期予防をしていたら、進行をもう少し遅れさせられたかなと後悔しています。

わが家のわんちゃん、トイプードルは6歳の時(2019年)にアジソン病と診断され、投薬を続けています。

9歳(2022年)すぎてから、暗闇で目が見えにくくなり、進行性網膜萎縮と診断されました。治療がないということで放置をしていましたが、2023年に入り急激に白内障など進行して、目の専門の病院へ行き、正式に進行性網膜萎縮と白内障と診断されました。

現在は定期的な検査と、目サプリ・目薬で進行を遅らせています。現在は、2023年11月に体調を崩しててから、急激に左目がひどい白内障でしたが、右目も白内障がひどくなりました。今はたぶん見えない様子です。

2024/4/25に甲状腺機能低下症と言われ、今、投薬を開始しました。経過観察中!

下記は、愛犬の闘病記です。同じ病気を持つ飼い主さんの、役に立てればと